大腸がん
大腸がんとは、大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍です。
食生活の欧米化に伴い増加しており、癌の罹患者数(かかっている人数)は、男性では胃がんを上回り1位、女性では2位(1位乳がん)となっており、男女共によく見られるがんです。
死亡者数は、男性では3位(1位肺がん、2位胃がん)、女性では1位です。
大腸がんの多くはS状結腸と直腸に発生します。大腸がんは早期で発見できれば、5年生存率はほぼ100%とされており、早期発見、早期治療が大切です。
原因
発生のリスク要因として、アルコール多飲、喫煙、肥満、運動不足、糖尿病などの生活習慣、大腸がんの家族歴や既往歴、長期経過した炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)などが指摘されています。
また、癌の発生については、良性の腺腫性ポリープが癌化するadenoma-carcinoma sequenceと、正常粘膜から直接に癌が発生するde novo pathwayが考えられています。
大腸がんの死亡者数はこの20年で1.5倍に増え、罹患率が欧米とほぼ同等になってきました。
その背景には食生活の欧米化が要因と考えられています。
症状
早期では自覚症状がほとんどありません。
進行すると血便や腹痛、腹部膨満感、便が細くなるなどの便通異常などの症状が現れますが、このような症状が現れて初めて検査を受ける人も少なくありません。
そのため、大腸がんの発症が増え始める40歳以上の方は大腸内視鏡検査をお勧めします。
診断法
大腸がんを発見するためのスクリーニング検査、検診として、便潜血検査があります。
便に血液が混じっているか調べ、陽性の場合は、精密検査として大腸内視鏡検査を行います。
大腸内視鏡検査により直接確認し、見つけにくい無症状、あるいは初期の大腸がんを発見することができます。
その際、病理組織(細胞)を調べて確定診断をします。
また、周辺臓器への広がり、リンパ節や肺・肝臓などへの転移の有無を調べるためにCT検査を施行します。
治療法
何よりも大切なのは早期発見・早期治療です。
早期に発見ができれば内視鏡により治療が可能です。
進行した場合には外科的手術が選択されます。
最近ではESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)、腹腔鏡手術、ロボット支援手術などの手術手技の発達により体への侵襲が以前とくらべ小さくなりました。
また根治術が不可能な場合は化学療法や放射線療法の適応となります。
また、近年新しい化学療法や分子標的薬が加わり、治療成績は改善しています。
大腸がんは早期で発見できれば、5年生存率はほぼ100%とされており、定期的な内視鏡検査による早期発見・早期治療が大切です。