複視
物が二つに見えることを複視といいます。片眼を隠して、片眼でもだぶって見えるときは「単眼性複視」といい、乱視や白内障など眼に原因がある眼科の病気です。一方、両眼では二つに見えるが、片眼で見ると一つに見える場合は両眼性複視といいます。
物を見るとき人は眼を動かしますが、このとき、両眼は無意識的に共同運動を行ない、左右の眼の像を一つに融合します。複視は、この眼球運動に障害があると起こります。
眼球のまわりの6個の眼筋肉、それらの筋肉を、動眼神経・滑車神経・外転神経という三つの脳神経が動かしています。そして、左右の眼球は、脳幹の神経細胞と神経路により巧妙に共同運動が行なわれます。そのため、眼筋、脳神経、脳幹が障害されると複視が起きます。つまり、複視はこれらに障害があることを示しているわけです。
複視の原因はたくさんあります。加齢でも起こりますし、放置していても自然に回復することもありますが、重篤な疾患の初期症状として複視が現れることも少なくありません。糖尿病で神経が障害されても起こります。
この場合は、頭部CT,MRI,MRAなどの検査、脳外科、脳神経内科の受診が必要になります。